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2007年3月13日 (火)

映画『それでもボクはやってない』

 お天道様は知っている。と高をくくってはいけない。刑事裁判の有罪率は99.9%。千件に一件しか無罪はない。God Only Knows.いや、神も仏も無いというような自体が、ほぼ100%の確率で起こっているということをこの映画は物語っている。今の日本では、冤罪で訴えられた時点で終わり!無実の罪で監獄なのだ。

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 先輩に紹介してもらった会社の面接に向かうため、フリーターの主人公:金子(加瀬亮)は朝の通勤ラッシュ時、乗車率250%の電車に乗った。

 履歴書を忘れてあせっていた金子は、ドアにはさまった服を引き抜こうともがく…そこで車内に弱々しく響く声… 「やめてください」。乗換えの駅で降りるとホームで女子中学生から声をかけられた。「いま私に痴漢したでしょ…」

 駅員に連れられ駅事務室まで行くが、そこでは何も聞かれないまま、警察官に引き渡される。そして「話は署で聞くから」と言われるままにパトカーに乗り込む。

 警察署では高圧的に刑事が怒鳴りつける。そして、手錠をはめられる主人公。「おまえは逮捕されてるんだ、私人による現行犯逮捕だ!おまえは被害者に現行犯逮捕
Soreboku

されたんだよ!」


1)刑事は後輩にこう言う「白かもしれないと思った時点で挙げられないぞ」
→これでは「何もやってないんだ!」という無実の訴えに、聴く耳を持つはずもない。

2)検察庁での取調べ、検察官も最初から犯人と決め付けて高圧的に質問する。
→警察署、検察庁、どこへ行っても主人公は自分の主張をまともに聞いてもらえない。

3)弁護士の荒川(役所広司)は現場再現VTRを作成してまで無実を立証しようとする。
→「確かな証拠なしに検察が起訴できるはずがない」という弁護士の言葉を信じて否認し続ける主人公。

4)法廷で、裁判官は「疑わしきは罰せず」のはずだった。
実際、最初の良心的な裁判官は言う「裁判の一番の目的は無実の人を誤って罰しないということです」
→しかしこの裁判官は他の裁判の控訴判決が2度も逆転有罪になり、本件の裁判官を降ろされてしまう。


※ここで重要なのは、1)2)が示す通り、警察&検察では、検挙した容疑者を有罪にできなかったら落ち度になるので、最初から罪人扱いするということ。

※4)で明らかなのは、裁判所が最も忌み嫌うのは「有罪の人を誤って無罪にしてしまう」こと。そして、国家権力はそれを避けるための「操作」をするということ。


 裁判官が交代してからの法廷。顔が見えないように「遮へい」されての、痴漢被害者である女子中学生の涙ながらの証言。「たぶん…この人に間違いありません。」

 そして最後に、判決は下される…。

 主人公は呆然としてつぶやく。「真実を知っているのは自分だけなんだ。裁くことが出来るのは自分だけだ。」
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 鑑賞者の我々は主人公の金子が無罪ということを知っている。そして、留置所の外での母(もたいまさこ)や友人(山本耕史)たちの応援も相まって、我々は主人公にドンドン感情移入していく。

 「やってないんだからしかたない!」無実なんだから救われるに決まってると、主人公と幻想を共にする。

 しかし、視点を変えてみたらどうだろう?履歴書を忘れ、電車のドアに服が引っ掛かった…おっちょこちょい野郎である。家宅捜査で友人から借りただけという「痴漢もの」のアダルトDVDを発見されたりもする。


 お天道様は知っている。と高をくくってはいけない。刑事裁判の有罪率は99.9%。千件に一件しか無罪はない。God Only Knows.いや、神も仏も無いというような自体が、ほぼ100%の確率で起こっているということをこの映画は物語っている。今の日本では、冤罪で訴えられた時点で終わり!無実の罪で監獄なのだ。

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